ランダムウォーク理論とともに、『ウォール街のランダムウォーカー』の中で語られている理論が、現代ポートフォリオ理論です。
この理論の結論は、「分散投資をすることでリターンの利益率は変わらず、リスクを減らすことができる」というものです。
『ウォール街のランダムウォーカー』の中でのシミュレーション
この現代ポートフォリオ理論の概要をつかむために、『ウォール街のランダムウォーカー』の中では、とある島にある2社の企業に投資をするシミュレーションをしています。
その投資の前提は以下の通りです。
■その島には2社の企業しかない
■1つ目の企業は、ビーチ、テニスコート、ゴルフコースなどを運営するリゾート企業
→晴れたら利益が出るが、雨が降ったら損失が発生する
■2つ目の企業は、傘のメーカー
→雨が降れば利益が出るが、晴れたら損失が発生する
■どちらの企業も利益は天気に左右されるが、晴れか雨の確率は2分の1とする
■好ましい天気のときリターン年率50%、逆の天気のときリターン年率-25%、そのため平均リターン年率12.5%
→2つの企業、どちらも同じ条件
この島を対象に株式投資をするとき、例えばリゾート企業に投資をしたとします。
もちろん上の前提での計算上は、年率12.5%で利益が出る可能性が高いのですが、このリターンを左右するのは確率が2分の1の天気です。
確率が2分の1とはいえ、必ずしも毎年12.5%の利益が出るとは言えません。
晴れが続くこともあれば、雨が続くこともありますし、年間を通して晴れが多い年もあれば、雨が多い年もあります。
そのためリゾート企業1社に投資をすることはリスクがあります。
では、リゾート企業と傘のメーカーの2社に投資した場合はどうなるでしょうか?
晴れの日はリゾート企業の利益が出て、雨の日には傘のメーカーに利益が出ます。
つまり、天気という状況に左右されることなく、安定した利益を得ることが出来ます。
実際の市場では「相関係数」が重要
上記のようなシミュレーションは現実とはかけ離れていると感じてしまう方も多いと思いますが、何となくでも複数の企業に投資をすることで、状況による利益のばらつき(リスク)を減らすことが出来るということを感じていただけたかと思います。
ここからは実際の市場について考えていきますが、考えていく上で相関係数というものが重要になってきます。
現代ポートフォリオ理論では、相関係数が完全に正の相関でなければ、分散投資によってリスクが下がる可能性があると述べています。
この相関係数というのは、2つの数字の間にどのような相関があるのかを表す数字で、「-1~1」の間の数値になります。
相関係数が0(ゼロ)のときは無相関となり、0(ゼロ)より大きいときは「正の相関」、0(ゼロ)より小さいときは「負の相関」と言います。
正の相関がある場合には、似たような数値の変動をしますので、完全に正の相関(相関係数が「1」)の場合、株価は全く同じ動きをします。
また負の相関がある場合には、数値は逆の動きをしますので、完全に負の相関(相関係数が「-1」)の場合、株価は全く反対の動きをします。
※前回の「とある島」の例えと同じような状態です。
現代ポートフォリオ理論を理解した上で、どのように投資するか?
上で現代ポートフォリオ理論では、完全に正の相関でなければ、分散投資によってリスクが下がる可能性があると書きましたが、つまり、全く同じ動きをする株でなければ、リスクが分散される可能性があるということになります。
もちろん全く同じ動きをする株などありえないので、どの企業の株でも大丈夫なのですが、当然出来る限り負の相関がある方がリスクが分散されますし、正の相関があったとしてもゼロに近い方が良いです。
そのために出来ることは、同じ業界よりも違う業界の株を買うこと、同じ国よりも違う国の株を買うこと、というようにやはり全世界の株を買うことの重要性が分かります。
つまり、現代ポートフォリオ理論から考えても、全世界株式のインデックスの投資信託を購入することは理にかなっているということです!
今週の金融資産
■銀行預金:約200万円
■ideco:「時価評価額:234,339円」、「評価損益:50,233円」
■つみたてNISA:「時価評価額:262,952円」、「評価損益:29,621円」
■ETF:「時価評価額:4,300,010円」、「評価損益:755,093円」
■個別株投資:「時価評価額:1,035,600円」、「評価損益:-43,376円」
■金融資産の合計額:約783万円 ※過去最高
次回予告
さて次回は、なぜ株式投資に集中投資をするのがベストと僕が考えているのかを『ウォール街のランダムウォーカー』の中に記載されていることからお伝えします!
長年ベストセラーとして君臨し続けている『ウォール街のランダムウォーカー』の中の情報は、これまでに様々な方が研究してきた結果が積み重なったものです。
これまでの研究の結果を、ぜひ皆さんの投資にも取り入れていきましょう!
お楽しみに!!